蕎麦屋八兵衛 自家製粉・手打
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そば粉こそ命だ
本道の『本挽き』か、キレの八兵衛流『押し挽き』か。
 『本挽き』の蕎麦についてお話しますと、『本挽き』の蕎麦粉は、『殻』をあらかじめ取り除く『丸抜き』という作業をした蕎麦の実を、良く挽ける目立ての石臼で粉を挽き、50メッシュから120メッシュの細かいフルイにかけます。ここで出来る蕎麦粉は白くコシのあるものです。コシが出るのは、『甘皮』がつなぎの役目をしてくれるからです。『十割蕎麦』というのがありますが、それは、この『丸抜き』をした『本挽き』の蕎麦粉であれば簡単に打てるものなのです。『中力粉』などのつなぎの粉を使用しなくても、蕎麦粉自体につなぎ素材が混ざっているため、簡単に蕎麦が打てるのです。しかし反面、茹でた蕎麦が硬くなり、歯切れの悪い蕎麦になってしまうと私は思います。
 味については好みの問題でございますので、なんとも申し上げれませんが、私の好みで申し上げれば、『押し挽き』の蕎麦粉で打った蕎麦のほうが断然旨いと思っております。ただし、八兵衛流の『押し挽き』というのが前提にあります。なんのこだわりもなく『押し挽き』で粉を挽いた場合、石臼の目立てやフルイのかけ方によって違いますが、『殻』や『本挽き』と同じように『甘皮』まで挽いてしまうので、蕎麦が粗く黒くなり、蕎麦自体の食感がボソボソなってしまいます。そこで、八兵衛の石臼は、目立てをある意味良く挽けないようにしてあります。いわゆる手挽きの石臼と同じ状態を目指したものです。『殻』はまったく挽けませんし、『甘皮』も挽けにくい目立てになっています。この石臼で挽いた粉を、12メッシュと50メッシュの2つのフルイを上下にしてフルイにかけます。12メッシュのフルイで『殻』と『ふすま』というものを取り除き、50メッシュのフルイで『細かな殻』『甘皮』を取り除きます。この粉が八兵衛の『一番粉』になるわけです。製粉会社が使用する120メッシュの細かいフルイを使用した粉と比較しますと、大変粗い粉になるのですが、その代わりに甘皮がほとんど入っていない粉になっているわけです。
 出来上がった蕎麦粉は、手で握ると「キュッ、キュッ」と鳴く粉で、団子にならずさらさらと崩れる粉で、手挽きの石臼で挽いたような粉が作れたのです。加水量も多く、茹で上げると透明感があり、淡い香りの『キレ』のある蕎麦が出来ました。ただし、切れやすく打ちづらい粉ですが、味としては絶品だと思っています。玄蕎麦から出来る『一番粉』は約50%程度です。50メッシュのフルイに残った粉を、もう一度石臼で挽き、フルイにかけ20%程度の粉が出来ます。その粉が『二番粉』になります。さらに残った粉は、もう一度同じ工程を繰り返します。それが『三番粉』になります。八兵衛の『せいろ』は『一番粉』と『二番粉』を合わせたもの使用しています。『三番粉』は使用していません。『一番粉』『二番粉』と『中力粉』の『二八蕎麦』が八兵衛の蕎麦です。
フルイ前の粉
一番粉
二番粉
三番粉
 旨い蕎麦を求め、本流を目指しながら試行錯誤を繰り返して来たわけですが、気がつけば独自の道を歩いて来たようです。蕎麦というのは、シンプルな食べ物ですが、求めれば求める程、奥深さを感じさせてくれる食べ物だと感じています。常に精進を重ね、お客様との出会いを一期一会と思い、一品一品を大切におもてなしさせていただきます。
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